秋の空
秋が近い。白い雲の周りに広がる青さも微妙に透明感を増してきた。夏の空は太陽の輝きを伝え、秋の空は果てしなく広がる天空に僕らを誘い込む。
ふとスペインのノーベル賞作家でもある詩人ヒメーネスの、あのロマンの世界を思い出す。南スペインの青い空の下のアンダルシアで、老いたロバのプラテロと主人公が過ごす日々を綴る詩集、「プラテロと私」。決して空は詩の中ではそんなに出てはこないのだけど、僕はこのロマンの世界に、青い透明な、日本では秋にしか見られないような空を感じるのだ。やがて去って逝ったプラテロも、作者はアンダルシアの土に帰したのだけど、僕のイメージでは、無限に続く青いアンダルシアの空の彼方に帰って逝った。
秋の空は人によって感じ方が違う。太陽の輝きが懐かしい人は、もの悲しさを覚え、人生を見つめたい人はその無限の広さに魅せられる。僕は子供の頃から秋の空の青さと広さに何か優しさを感じ、快晴の日には目を細めて空の彼方を眺めるのが習慣となっている。