二つのインフルエンザ

                

 保健所長として気になって情報を追ってきた感染症が二つある。人インフルエンザと鳥インフルエンザだ。人インフルエンザは1月にはほとんど流行の気配が無かったからあまり気にせず、主に鳥インフルエンザの情報を追っていた。しかし、2月に入ってから両インフルエンザとも様子が怪しくなった。人インフルエンザが急増し始めた。それもB型が中心だ。通常はA型の脇役として2月後半から3月にかけて小流行するにすぎない。それが2月の第2週には警報を発するまでに流行が拡大してきた。ワクチンには予防効果はあるのか?症状は?海外での状況はどうなのか?色々と情報を集めて今後に備える。B型インフルエンザの流行は通常長い。もうじき受験シーズンに入る。
 一方東南アジアで多発している鳥インフルエンザ。3度目の流行が12月から家禽を中心に見られているが、ベトナムやカンボジアでは人に感染して死者も出ている。ウイルスが変異して、人から人へ容易に感染を起こしだすと大変だ。世界で2000万人以上の犠牲者をだした1918年のスペイン風邪を想定させる。WHOを中心として関係各国は必死の対策を講じている。
 保健所には危険な感染症を未然に防ぐ役割がある。起こる前の対策が重要だ。それは見えない敵との戦いに等しい。敵が見えてからでは遅い。「サイレント・キラー(無言の殺人者)」。一昨年、SARSと戦った香港の病院スタッフが出版した本のタイトルである。