ノロウイルス胃腸炎
ノロウイルスによる急性胃腸炎が、高齢者施設を中心に国内で流行中だ。すでに10人以上のお年寄りが亡くなった。吐物の誤飲による窒息や肺炎の併発が原因となっている。ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝を、生で摂食した際に発生する食中毒の病原体として日本では知られていた。しかし欧米では以前より、発病した人からの嘔吐物や糞便を介して集団発生する感染症の病原体として知られている。ここ数年、欧米ではノロウイルスは活発化していて、昨年夏には、今冬の大流行を懸念する論文がオランダの研究者からだされていた。現在、病院やホテル、合宿所、寄宿舎などでノロウイルス胃腸炎が多発していることは、海外からの多くの情報で知られている。
わずか数十個という少量のウイルスで胃腸炎は発症する。非常に感染力が強い。発症した患者の嘔吐が激しいのがノロウイルス胃腸炎の特徴だ。激しい嘔吐の際のジェット噴流に乗った嘔吐物は簡単に微粒子化して空中に漂うが、そこには多くのウイルスが含まれている。これら微粒子は周辺の人に付着したり、または他の部屋に空気と一緒に流れ込んで感染を広げる。頻回の手洗いや汚物の丁寧な処理だけでは、このような空中の微粒子を介した感染拡大は防ぐことはできない。これまで日本国内でのノロウイルス対策は、食中毒を念頭においたものだった。今後は欧米並みに、集団感染するウイルス感染症としての新しい対策が要求される。