雪の朝
突然、雪が降り積もった朝。いつも車で出勤しているのが徒歩での出勤となる。歩いても30分はかからない距離だけど、車に親しんだ心身には辛い。坂の多い小樽の雪道は滑りやすい。滑り止めのついた冬靴を半年ぶりに履き、恐る恐る歩き出す。
車で数分の距離は、普段なら頭の中は車の中で業務の世界に移行してゆく。早朝に色々と情報を集積する習慣があるから、そのままシームレスに保健所業務の世界に入ってゆくことができるのだ。
朝の30分間の歩行時間は、意外と長く感じる。久しぶりに歩く路地。すでに葉を落としつつある木々の枝に降り積もった、白い雪の眩しさ。雪と対象をなす、生命力を内向させてしまった黒い枝。ゆっくりと高度を増す公園へ向かう遊歩道。遠くに見え隠れする小樽湾。全て久しぶりに五官が感じ取る光景だ。自分の感性の揺らめきを感じとる。
30分間の歩行が終わる頃、心身はなぜかいつもよりも広い空間に存在している。ふと業務に縛られた時間帯に入る躊躇いが起きている、自分に気づく。でもそれは逆に、日常の硬直化した業務に対する、反省の意識を取り戻す効果にもつながってゆく。
7分間と30分間の差。その物理的数値の違いは朝の生活習慣の中では大きい。しかし、自身の心身に対しても大きな影響をもつことに、改めて関心を覚えた朝だった。