保健所長

        
 保健所長は非常に孤独である。地域の健康を管理してゆく責任を負わされている。その責任の重要性は医師であるが故認識できる。一人の医師としての発想で、地域という個人の健康管理をしてゆくのである。この地域全体の健康問題は何なのか?今、この地域に何か健康危機が起こる心配はないのであろうか?全ては医学的感性に依るところが大きい。
 今、国では保健所長の資格から、医師であることを除外することを検討している。保健所長のなり手がいないことも大きな原因であるが、行政組織では医師としての感性よりも、管理者能力など、行政マンとして必要な能力の方を要求する傾向にある。しかし保健所長から医師としての感性を取り上げたなら、誰が地域の健康を心配できるのだろうか。地域は健康であって当然である。SARSや鳥インフルエンザは地域で発生しないのが当然である。その当然のことのために保健行政は存在する。華やかさはない存在でもある。
 国にも地域にもお金が無い時代となっている。保健所長はその感性をさらに鋭敏にして、今、何をすべきか知恵を絞らなければならない。これは自戒の念をこめた思いでもある。