悩める保健師さん
保健行政のホームページを立ち上げてから何人かの保健師さんからメールをいただきました。皆さん、それなりに苦労や行き詰まりを感じているようです。それは当保健所の保健師さん方も同じであって、結局のところ、保健師って何なのかしら?と思いはじめます。行政に入って数年以内に壁に当たるようです。壁に当たらない保健師さんもいますが、それはじきに彼氏と結婚をする場合で、家庭生活の大変さ(甘さ?)の中で仕事の悩みを忘れてしまうように見えます。
なぜ保健師さんは悩むのか?答えは簡単です。行政の中で目的をもって働こうとすると誰でも、どんな業種でも壁に当たります。他の業種の場合、当該の職員の仕事はそれほど特異性はありませんから、彼一人が悩んでも全体の業務にはそれほど従来と比べて困ることはありません。彼はさらに前に進もうと思うのですが、周囲や上司は、急くな!、お前一人が仕事をしているんじゃないんだ、などと言って水をかけて冷やします。
長年行政で働いている人々は、いかにそつなく仕事をこなすか、ということしか考えなくなります。それが凡人の常です。そつとは無駄のことです。無駄を省くのは仕事の上で重要ですが、この場合のそつとは、自分達の仕事の上での無駄のことです。市民に対して無駄な業務を省くという方向性ではありません。対市民に対するサービスは当初無駄があっても構わないような気がします。先進的業務はトライ&エラーでしか行えません。
もし効果が無かったらどうするんだ、とか、誰もそんなことを期待なんぞしてないよ、とか、市民からそんな要望はないさ、とか、後ろ向きで、そつのない会話が行政では交わされる傾向にあります。
先進的で無駄のない業務は非常に難しいものです。ですからしだいに従来の業務をいかにそつなくこなすかということに視点が置き換えられます。
しかし保健師さんの場合は違います。地域の健康の行く末を見つめながら、どうしたら人々の健康維持・増進に寄与できるか考えます。時代とともに増えてくる高齢者人口、高齢者の健康をどうサポートすれば良いのか、子育てについて何の知識も、理想も持たない若い母親達をどのようにサポートしてゆけば良いのか、全ては時代とともに問題は変化してゆきます。頼りになる国からの指導やアドバイスも抽象的です。地域の問題は自分達にしか分かりません。ここで従来型の業務に徹したら、あの人達は誰が守るのだろうか?と悩みます。保健師は地域の人々の集団に対するナースです。だからナースが受け持ち患者さんについて悩むのと本質は同じです。
保健師さんが悩んでも、周辺の行政職の人々には何も通じません。それは他の行政職の人々が保健師の役割について無知であるということだけではなく、保健師のような目的指向型の業務を行っていない、と言う理由も大きいと思います。
保健師は地域社会のナースです。もっと権限が与えられても良いかも知れません。それと保健所長がもっと守ってあげるべきかも知れません。保健所長が単なる医師という肩書きを付けた行政職の人間になってしまうと、保健師さんたちは宙に浮いてしまいます。
目的指向型の業務には絶えず壁が立ちふさがります。なぜならその目標が高ければ高いほど周囲は理解できないからです。でもそれでもがんばって壁にぶつかって行かなければなりません。そうでなければ地域の健康は誰が心配するの?という天からの声が聞こえてくるような気がします。
がんばってください!!