星明かりの中に浮かび上がる
白い墓石
しおれた花が二輪
いつの日 亡くなったのだろう
少女の墓
私は墓石の冷たい表面をなでる
遠い時代の幻想は
雲が切れた空からの明かりで目映いばかりの
現実の光景に変わってゆく
少女が静かに歩き出す
私は少女の後をゆっくりと歩く
少女は振り返って不安に満ちた表情で
私を見つめる
私は近寄って手をとる
白い墓石の表面はしだいに温もりを持ち始め
私はほおずりをする
私は墓石に耳をおしあてる
微かに聞こえる旋律
少女の弾くチェンバロの響きのような・・・
少女の長い黒髪が窓からの春の微風で揺れる
広がる光景はプロバンス
私は顔を上げて墓石を見つめる
朽ちかかった墓石の表面の文字
私は指でなぞりながらプロバンスの光景に
想いをはせる・・・・