| ボクと白い雲 空に雲がない日ってあるだろうか ボクは通勤で役所に向かう毎朝 空を見上げる いつも白い雲はどこかに見つかった 青空だけと思っても 目を凝らすと 雲は絶対見つかった 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある日 ボクは 雲を見つけることが出来なかった 地平線の彼方から 遠くの山の頂まで 雲を探し続けた 何処にも何も見えなかった ただ透き通った青空だけが広がっていた 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ボクは公園のベンチに腰を下ろしたまま 空を見上げ続けた 役所に行かなければならないことなんて 忘れてしまった 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 公園の掃除のおばさんが 変な顔をして ボクの方を眺めていた 小さな子供の手を引いた若いお母さんたちが ボクの方を見ながら 何か話していた 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 遠くに小さな山が見えた。 ボクはその山の上なら雲が見つかるような気がした 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ボクは鞄を持ったまま山へ向かった 小さな子犬がボクの後をついてきた 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 山の上からは町が良く見えた でも雲は何処にも見えなかった 遠くの方にもう少し大きな山が見えた あの上なら雲が見つかるような気がした 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ボクは子犬と一緒に遠くの山に向かった 子犬は さっきよりも少し大きくなっていた 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 その大きな山から さっきの小山が下の方に見えた でもどこにも雲は見えなかった 子犬はボクと同じくらい大きく成長していた 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 遠くの方に 氷河を抱いた高い山が見えた ボクは大きな子犬に、あそこまで行こうか?って たずねた 大きな子犬は 黙って高い山にむかって歩き出した 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ボクは大きな子犬の後についていった ボクたちの後ろには 熊の親子とキツネの親子、頭の上にはカラスたちがついていた 町ははるか下の方になり いつしか見えなくなっていた ボクも みんなも幸せだった 町では役所の人たちがボクを探していた でも ボクたちのいる山は 町の人には雲に隠れて見えなくなっていた |