キミのためのお星さま

       
キミはあのお星さまが欲しいといった
夜空で一番輝いているお星さまを指で指しながら
僕はキミの願いをかなえてやりたいと思った
キミの病気が治らないことを知っていたから
                    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夜になってから僕は近くのお山にのぼった
一番輝いているお星さまを探した
キミの指さしていたお星さまはお山のてっぺんの直ぐ上に浮かんでいた
僕は少しばかり飛び上がってお星さまを両手で捕まえた

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

僕はお星さまを両手で抱いたままゆっくりとお山をおりた
お星さまは僕にたずねた
なぜ私を捕まえるの?
お星さまの声は震えていた
僕はお星さまに答えた
小さな子が明日死んでゆくんだ お星さまが欲しいと言ってる
お星さまはうなずいた
分かったわ その子の側にいつまでもついているわ
                            
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

病室の窓辺に僕はお星さまを天井からつるした
電気を消しても病室の中は前よりも明るくなった
キミはベッドの上に起きあがって、お星さまを見つめた
本当のお星さま?
お星さまはにっこりと微笑んだ
本当よ あのお山の上からあなたのところに来たのよ
キミは嬉しそうに微笑んだ              
じゃ ボクの病気は治る?
治るとも
ボクはお星さまに代わってこたえた

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
             
明け方 ボクは病室に行った
キミはお星さまと手をつないで眠っていた
お星さまは山の上に戻らなければならない時刻だった

お星さまはボクにたずねた
私は山に戻るわ また夜になったら来ます

ボクは迷った
キミをお星さまに連れて行ってもらったほうがいいように思った

ボクはお星さまに頼んだ
この子は夜までお星さまを待てないかも知れないんだ

お星さまはゆっくりとうなずくと 眠ったままのキミを両手で抱いて 
静かに窓からお山の方に飛んでいった             

ボクはお星さまと空に飛んでゆくキミを見送りながら 何度も涙を拭いた

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
                 
夜になってから ボクはキミのいた病室の窓からお山の上を眺めた
あの一番輝くお星さまの横に 小さいけど負けずに輝く星をボクは見つけた
ボクを見つけたお星さまは小さな声でささやいた
まだ眠っているわ
明日の夜には起きるはず
  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次の日の夜 ボクはまたキミのいた病室からお山の上を眺めた
大きなお星さまから少し離れて キミは大きくなっていた    
キミはきっと空で大人になったんだね
キミの輝く空はいつもよりもずっと明るくなっている

ボクはこれからキミの輝く夜の空を きっと毎日みるだろうね