カラスの親子


ある日の朝
いつも家の前の大きなナナカマドの木にやってきていた
カラスの親子の姿が見えなかった

ナナカマドは紅葉していて 赤い実をたくさんつけている
カラスの子は 大きな母親の真似をしながら 赤い実を食べていた
一週間くらい前からやってきていた


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うちの柴犬も不思議そうな顔をして ベランダからナナカマドの木を見上げている
今日はどうしてこないのだろう?
彼は直ぐそばのナナカマドの木にとまるカラスの親子に向かって いつも吠えていた
きっとカラスの親子と遊びたかったのだろう
一度だけカラスの子はベランダの端にとまって しばらく柴犬の顔を見つめていた
うちの柴犬も吠えるのをやめて見つめていた

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次の日の朝もボクと柴犬は ベランダからナナカマドの木を眺めていた
カラスの親子はやってこなかった
柴犬はつまらなそうな顔をしてボクの顔を見上げた

カラスの親子はどこへ行ってしまったのだろう?
ボクは台所の奥さんにたずねた

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山の方で猟友会のメンバーがカラスをたくさん鉄砲で撃ち落としたみたい
奥さんは悲しそうな目をしてボクに言った
鉄砲で?なぜ?
町の中でゴミを荒らすからよ
奥さんは 後ろを向いた
そして小さな声で付け加えた
一羽 50円 市から出るんですって

柴犬もボクたちの話を聞いていた
彼は奥さんの言葉が分からなかったから
ボクが彼に通訳するのを待っているのだ

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ふたたびボクは ナナカマドの木を見つめた
柴犬はボクの顔を不思議そうに見つめてたずねた
来ないの?
ボクは首を振った
もう来ないよ
なぜ?
柴犬は首を少し傾げた

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ボクは山の方をながめた
もう来ないよ
もっと大きなナナカマドの木を見つけたからね
柴犬はつまらなそうな顔をして
ボクと同じように山の方に顔をむけた

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山の奥には大きなナナカマドの木がたくさんあるんだ
そこにはもっと大きい実がたくさんついているよ
このナナカマドの実よりも もっとおいしいんだって
だからこうこないさ
ボクは柴犬と 自分自身にに言い聞かせた
柴犬は少し悲しそうな目をして僕を見た

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ボクは急に柴犬が哀れに思えて抱き上げた
その方が もっと遠くの山が見えるはずだったから