| キャッチボール 彼女はお隣の子とよくキャッチボールをした その男の子のママが病気で寝ているときや、おうちの中で忙しいとき 彼女には男の子の寂しい心が良く分かっていた なぜなら彼女も寂しい心を持っていたから 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 男の子はときどきお腹が空いたといってやってきた ママが忙しくてご飯をまだ作っていないときや、外出からの帰りが遅いときなど 彼女は男の子のためにご飯を作ってあげたり、おやつをだして上げたりした なぜなら彼女も空腹の辛さを知っていたから 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある日 彼女は庭で泣いていた いつものように男の子がグローブを持って庭にはいってきた 男の子が彼女にたずねた おねえさん 悲しいの? 彼女は涙を拭いて首を振った 悲しいことなんてないわ そして彼女は微笑んだ 男の子は笑った じゃ 寂しいんだ キャッチボールをしてあげる それから二人はキャッチボールをした 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある日 男の子は泣きながら庭に入ってきた 彼女はたずねた どうしたの? 男の子は泣きじゃくりながらこたえた ママとパパが喧嘩をしている 彼女は男の子の頭を胸に抱いた 大丈夫よ すぐ仲直りするから 男の子は涙を拭くと 彼女にたずねた どうして大人は喧嘩するの? 彼女は答えた みんな寂しいからよ 男の子はうなずいた それから二人はキャッチボールをした 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある日 男の子の家族が引っ越していった 男の子は手を振りながら叫んだ おねえさん いつまでも元気でね 彼女はキャッチボールをする相手がいなくなった 彼女は寂しかった 彼女は食事をだしたり おやつを上げる相手がいなくなった 彼女はいつもお腹が空くようになった 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある日 大きな鳥が飛んできた 彼女が疲れた顔をして庭に座っていると 大きな鳥はたずねた どうして疲れているの? 彼女は答えた 寂しいからよ 大きな鳥はふたたびたずねた 寂しいとどうして疲れるの 彼女は答えた 夢が無くなると 人は疲れるものよ 大きな鳥はふたたびたずねた 夢ってな〜に? 彼女は答えた 遠くに夕焼けが見えることよ 大きな鳥はうなずいた そして彼女に言った それなら簡単だよ おねえさん 大きな鳥はどこかに飛んでいった 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 大きな鳥はたくさんの仲間を連れて戻ってきた 大きな鳥は彼女に言った おねえさん これから夕焼けを運んでくるね 大きな鳥は仲間を後ろに従えてどこかに飛んでいった 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 しばらくすると遠くの方から夕焼けが近づいてきた 彼女の上に夕焼けがきたとき 大きな鳥と仲間たちが 彼女の家の庭に飛んできた 大きな鳥が彼女に言った おねえさん いつでも言ってね アタシたちは いつでも夕焼けを運んでくるから 彼女は嬉しかった ありがとう 優しいのね 彼女がそう言うと 大きな鳥は笑いながらこたえた お礼は あの男の子に言ってよ アタシたちは あの子に頼まれたんだから 彼女には意味が分からなかった あの子に頼まれた? 大きな鳥はこたえた あの子が引っ越して行くとき アタシは頼まれたの おねえさんが寂しいとき 悲しいとき 遊びに行ってねって 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 それから彼女は疲れたときや悲しいときには いつも大きな鳥に夕焼けを庭に運んでもらうようになった |